櫛木理宇/爪切男/中村文則/下村敦史
こういう日があってもいい。
■世界が赫に染まる日に(櫛木理宇)
少年犯罪(加害者)vs少年犯罪(被害者家族)。
理想の中二的なカッコ良さ、現実の「こんなもんよね」感、私は好き。
私は被害者にも被害者家族にもなったことがないため、「もし被害者(家族)になったら加害者を陥れたいなあ」と軽率に思っていたんだけど、そういうことじゃねえんだな、と考えを改めました。
これは私個人の感覚なので異論は全力で認めますが、バッドエンドだと思いました。
表紙がかっこいい。
■死にたい夜にかぎって(爪切男)
よくわからんで読んだら、物語ではなく自伝だった。
自伝って、感想が難しい…他人様の人生に批評だ感想だってしていいのかな。
強いて言うなら文章がすごくインターネットって感じ(ex.品田遊a.k.aダ・ヴィンチ・恐山)
でも当時「なし水」は買ったのである。安かったから。
坊主頭で眼鏡の男性が会計してくれたので、まさか?と思うがそこはけつのあなカラーボーイのスペースだったので、別の坊主眼鏡だったかもしれない。
■私の消滅(中村文則)
私は誰、あなたは誰、俺がお前でお前が俺で。
前情報なしで読んだ方がいいと思うし、その発想は無かった!
とは思うんだけど全体的に稚拙。
悪い意味でラノベ。
あとがきがしゃらくせえ。
■闇に香る噓
全盲の元老害おじいさんが、疑心暗鬼で猛烈に暴走、読者に心配をかけまくる乱歩賞受賞作。
中国残留孤児である兄が帰国した…のはいいんだけど、こいつ本当に兄貴か?と疑ってみたら止まらない。
そんなおじいさんがチラチラと老害の名残を見せてくるのでヒヤヒヤする。
伏線が丁寧に張られていて面白いんだけど、丁寧すぎてダルくもある。
映画や漫画っぽいと言ったら近いかな…そういう文法で小説書かれたらしつこいと思います。
出版時に改題してるんだけど、乱歩賞受賞時の批評で改題前のタイトル「無縁の常闇に嘘は香る」が全否定されてて笑ってしまった。
改題後も、旧字体の「噓」がちょい鼻につく。
以上です。