単身赴任

ブログなるものを始めてみんとす。

生きてるだけで、愛。(本谷有希子)※映画版こみ

短編を109分の映画にするなんて、無茶だよ。

 

躁鬱メンヘラ寧子ちゃんが、日常でひたすらもがき続ける大変閉塞的な一作。

映画版がどうしょもなかったせいか、原作は表紙のハートがダサいくらいでそこまで悪くなく思えた。

 

原作の登場人物は寧子ひとりで、その他のみなさんはNPCと言って差し支えがない。

それは寧子が他人にうまく触れないせいであり、恋人の津奈木すらも村人Aみたいになっている。

一生懸命津奈木に触ろうとして、できなくて、でも諦めきれずに手を出して、生きてることしかできない寧子の生自体が愛になる。

最後の選択が「携帯を閉じる」=「NPCのお役御免」、要は別れなのだから物悲しいですね…

 

対して映画版は津奈木フィーチャーしすぎ。

結局津奈木も寧子と同じフィールドに降りてきちゃうし。

キャストの菅田将暉は確かに格好の良い素敵な俳優なんだけど、菅田将暉のカッコいい姿じゃなくて、無様に足掻く寧子の姿を描いてくだせえよ。

あと寧子の趣里ちゃんは何やっても趣里ちゃんだからもっと頑張ってほしい。脱げるだけの女優になんないでくださいよ!

 

あと映画版でよろしくないのは、寧子が停電で発狂するところ。原作を読んでないのか読んでもわかんなかったのか、究極趣里ちゃんのせいなのか…

寧子は暗闇が怖いわけじゃない。限界まで膨らんだ自分への失望が停電をトリガーとして破裂してるだけ。

あれじゃ寧子の属性盛ってるだけじゃん。躁鬱、コミュ障、メンヘラ、暗所恐怖症←new

寧子押さえつける菅田将暉はカッコ良かったよ。そこじゃねえけどな。

 

原作は、一読の価値はあると思います(同時収録「あの明け方の」はスルーでOK)

映画は、菅田将暉が大好きなら絶対観るべきだと思います。

私からは以上です。