穴(小山田浩子)
表紙のデザインが好きだな!
2014年?そのくらいに芥川賞を受賞してるそうだ。
鄙びた風景が目に浮かぶ。蝉の声、草の匂い、湿気の重さ。
そんな遠くの現実を快適なおうちにいながら体験させる、描き出した現実を少しだけ捻じ曲げる高い技術。
…で、(これはほんと認めるけど)頭も感性もイケてない私にとっては「いつまでも始まらないお話」。
純文学ってそういうとこあるよね…好きじゃない人にとっては永遠にAメロが続く(ように聞こえる)ミニマルテクノのようだよ。
※個人の感想です。
夫の転勤の都合で田舎に引っ越したタイミングで専業になった主婦がボケ老人にビビり倒し、慣れない環境と暇も手伝ってノイローゼを患う話。
※個人の感想です。
認知症の人間ていうのは、若い人とは違う世界を見て、生きているから、ある種「不気味の谷」状態なんですよね。
ついでに言うと「子供」というのも、あいつらは脳機能が発達過程にある関係でちょっと違う世界を見るので、大人から見ると「不気味の谷」状態になりやすい。
引っ越した田舎で主人公が出会うのは、認知症の老人、子供たち、所作言動の全てがガイキチじみた男性。
それらへの道を導く謎の獣。
これ、普通に元気なときだったら、めんどくせーなーの一言で終わっちゃうと思う。
全ての条件が悪い方向へ重なると人間はこうなる、という事例のように私は読んだ。
また作者が筆力おばけだもんで、これ真剣に感情移入して読んだら読者も気を病みそう。
現実的な思考や感情の動き、そこにストーリーなどないから、いつまでも何も始まらないように感じる。
私には合わなかったな…
同時収録の「いたちなく」「ゆきのやど」これは、流し読みしてしまった。
「いたちなく」でいたちを溺死させる(害獣だからね)話をするところが読めず、飛ばしてしまったからだ。
私は2匹のおフェレット様に日々全力でお仕え申し上げ奉っておりますため、主人と同族のおいたち様への狼藉はまったく耐え難い描写だったのであります。
ちなみに私、ミニマルテクノは大好きです。